2024-04-09
40代の女性患者さんは、脱毛するかゆみ止めであるザイザルを1ヵ月間服用して、円形脱毛症を発症しました。皮膚科で治らず、当クリニックに来院されました。多発型円形脱毛症でした。カプサイシンなどのサプリメントとセファランチン大量で、IGF-1 を増やす治療を開始すると、治療1ヵ月後に、傷んだ毛の生え変わりと共に、前頭部の脱毛斑の内部に、産毛が生えてきました(写真、赤い円内)。そして、患者さんが驚いたのは、皮膚の痒みが強く、ザイザルをほぼ毎日飲んでいたのが、脱毛症治療のためにザイザルを中止すると、逆に、かゆみが出なくなったということでした。IGF-1 には、アレルギーを抑える作用があります。ザイザルなどの抗ヒスタミン剤などの痒み止めは、かゆみは抑えますが、かゆみの原因であるアレルギーは、IGF-1 を減らしてしまうために、逆に悪くします。ですから、アレルギーで、かゆみがある時にザイザルを飲めば、かゆみは抑えられますが、薬の効果が切れると、アレルギーそのものは悪くなっているので、かゆみは、さらに強くなります。そして、かゆいので、またザイザルを飲むという、繰り返しになり、ザイザル常習者となり、そのうちに円形脱毛症を発症します。この患者さんでは、IGF-1を増やす治療を受けていたこともありますが、ザイザルを止めることで、かゆみの原因であるアレルギーも治まってきて、かゆみがなくなったと考えられます。そして、眠りが深くなり、ザイザルによる、軽い意識障害もなくなったからでしょう、小さなことを良く思いだすようになり、仕事の能率も上がったそうです。そして、抗ヒスタミン剤の副作用である体重増加もあったのですが、食事で満腹する感じがでてきて、食べる量も減ったとのことでした。胃腸の知覚神経を刺激すれば、満腹感が出ますが、ザイザルを飲んでいると、知覚神経が麻痺してしまい、満腹感がでにくくなり、過食してしまい、体重が増えます。単なる対症療法薬で、しかし、かゆみの原因は悪化させ、多くの副作用もある抗ヒスタミン剤、ここまで知っても、まだ飲めますか?