2021-03-12
関東地方在住の20代の男性患者様は、生後数か月から、気管支喘息の治療で飲み始めた、脱毛薬シングレアで、円形脱毛症を発症しました。祖父の方に、円形脱毛症の既往がありました。シングレアは、18歳まで飲み続け、途中で、脱毛薬ザイザルも服用するなど、効かない皮膚科治療と脱毛薬の長期服用で、円形脱毛症は、悪化したまま20年近くを過ごしていました。当クリニックを見つけられて、遠隔診療で、IGF-1を増やす治療を開始しました。治療1ヵ月後には、抜けていなかった毛が太くなることに加えて、前頭部の広い範囲で、産毛が生えてきました(写真)。治療効果を、患者様のお母様にお伝えすると、毎日見ていたから気付かなかったそうですが、喜ばれていました。このお母様は、薬局勤務で、セファランチンを大量に服用することを気にされていました。大量というのは、錠数だけで、1ヵ月150mgを服用するだけです。保険診療では、1日せいぜい4mgしか投与が許されていないので、それに比べると、大量なのでしょう。よく、円形脱毛症の治療を開始する際に、患者さんのお母さんが、知り合いの(セファランチンのことを何も知らない)医者から、セファランチンが多すぎると言われたといって、苦情めいた電話をしてくることがあります。また、現役の女性医師の娘さんが、円形脱毛症で、やはり、その医師が、セファランチンが多いので、劇症肝炎は起こしませんかなどと、驚くような愚問を発することがあります。このお医者さん、セファランチンとは比べ物にならない、こわい抗がん剤を、平気で、他人には投与しています。また、円形脱毛症の女性薬剤師の方が、やはり、セファランチンが多いと言って、心配してくることもありました。セファランチンの安全性は、初診の際に、十分にお話ししているのですが、中途半端な医療常識を持った人では、理解できないようです。”一回話してわかる人は、話さなくてもわかるが、一回話して、わからない人は、何度話してもわからない”の大原則に沿って対応しています。治療を中断されたこれらの人たちは、一生に一度の、治るチャンスを失いました。