2020-06-08
愛知県内在住の女性患者様は、当クリニックに来院される8年半前に、家庭内ストレスに加えて、痛み止め”ケロリン”(脱毛成分、アセチルサリチル酸配合)を、毎月1、2回、常用していて円形脱毛症を発症しました。近所の皮膚科で、塗り薬、効果なく、大学病院をいくつか回り、某私立医科大学病院の皮膚科で、かぶれ治療を受けていました。もちろん、無効です。美容室で、マッサージを受けるも、やはり、効果なし。そこの美容室で、当クリニックを紹介されて、来院されました。おそらく、そこの美容室を訪れた円形脱毛症の方たちが、当クリニックの治療で、改善されていたのが確認されていたのでしょう。カプサイシンなどのサプリメントと大量のセファランチンで、IGF-1 を増やす治療を開始すると、2週間の治療で、後頭部に産毛が生えてきたのが確認されました(写真)。この時に、びっくりしたような、また、信じられないといった表情で、このように言われました。ケロリンなんて、子供にもつかえるような名前の薬が、実は、怖いのです。多くの製薬会社が、脱毛する解熱鎮痛剤や抗ヒスタミン剤を販売しています。副作用報告も、医薬品医療機器総合機構にも、すでに、80症例の報告を行っています。しかし、これらの薬で、円形脱毛症の発症や悪化の副作用の告知は、されません。患者さん自身が、これらの薬を使用しないように、注意するしかありません。重症円形脱毛症が、既存の皮膚科治療で治らない自己免疫疾患であることや、命にかかわらなくても、そのつらさが、製薬会社や機構の担当者には、理解できないのでしょう。それとも、脱毛薬使用を勧める円形脱毛症診療ガイドラインを作成した学会への忖度でしょうか?