2020-03-04
カンナビジオール(CBD)は、大麻の茎などに含まれる脂質です。これは、カプサイシンと同じように、知覚神経を刺激するので、IGF-1 を増やします。また、CBDは、知覚神経の細胞内でも、アナンダマイドという、内因性の知覚神経刺激物質を増やすことによっても、知覚神経を刺激します。カプサイシンなどのサプリメントと大量のセファランチンで、IGF-1 を増やす治療を行うと、多くの患者さんで、脱毛は改善しますが、円形脱毛症の最重症型である、全身の毛が抜ける汎発性脱毛の患者さんでは、産毛が生えてくるまでに、長い時間を要することがあります。もちろん、このような脱毛症には、皮膚科治療は、無効です。関東地方在住の8歳の女性患者様は、キプレスという、脱毛薬を、気管支喘息の治療で内服して、円形脱毛症を発症しました。近所の皮膚科で1年間、そして某国立大学医学部附属病院の皮膚科でも、治療を受けましたが、まったく、治りませんでした。ほぼ全身の脱毛を起こす、汎発性脱毛の状態で、困り果てて、当クリニックに来院され、IGF-1 を増やす治療を開始しました。白い産毛は、生えてきましたが、なかなか黒い産毛は生えてきませんでした。治療1年4ヵ月でも、黒い産毛は、生えてこなかったので、CBDの併用を1ヵ月間、行いました。すると、その4ヵ月後に黒い産毛が生え始め、CBD開始5ヵ月後には、明らかに、黒い産毛が生えて、伸びてきました(写真)。ロケットを打ち上げるときに、噴射の補助推進装置をブースターと言いますが、CBDは、まさに、IGF-1 を増やす治療におけるブースターです。長期に、使用する必要はありませんが、ある期間だけ、併用すると、その後の治療効果を高める作用があります。CBDは、高価なこともあり、長期の治療で効果が不十分な場合に、短期間併用するという使い方が向いています。