2018-10-09
髪の毛を作る工場である、毛包を大量に作り出し、頭皮に植えると、薄毛が治ると再生医療に期待がかけられています。そして、再生した毛包を、マウスの皮膚に植えると、毛が生えたと報道されました。毛包を正常なマウスの皮膚に植えて毛が生える、こんなこと、当たり前です。しかし、実際の脱毛症治療では、そんなに、簡単に効果はでません。脱毛症は、頭皮のケガややけどの後に出来る瘢痕の部分に毛が生えない瘢痕性の脱毛と、それ以外の非瘢痕性の脱毛に分けられます。再生医療で、脱毛の改善が期待されるのでは、瘢痕性脱毛だけです。瘢痕性脱毛は、毛包がなく、それを再生させる環境もないので、毛包を植えれば、そこから分泌されるIGF-Iなどの成長因子で、毛包が育つ環境が作られ、毛が生えるでしょう。非瘢痕性脱毛は、毛包に問題はなく、頭皮に問題があるものばかりです。元気な苗を植えても、土壌に問題があれば、その苗は、しばらくは生きられても、早晩死んでしまいます。男性型脱毛症では、DHTという脱毛ホルモンが、遺伝的に感受性の高い人の土壌(頭皮)を荒らし、女性型脱毛症では、女性ホルモンの減少により土壌が荒廃し、そして、円形脱毛症では、活性化されたリンパ球が、土壌を焼き尽くします。再生医療の考え方は、机上の空論で、そんなに簡単には、結果を出せないでしょう。脱毛症以外の病気の、再生医療による治療も同じことが考えられます。